11月
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【異世界の街】ファンタジーライフPart.3【平和な世界】

2016/11/26(土)11:12:55 その他
1ルピナ◆FOpQRm.OW22016/08/10(水)13:08:21 6KT
ファンタジーな世界のとある町
様々な種族が暮らす町では、毎日色んな出来事が起きています
喧嘩をしたり、一緒に遊んだり、意見の交換をしあったり
もちろんみんな仲良くなどとはいかないでしょうが、穏やかな日々が流れる休憩所です
あなたも、もし良ければ休んでいきませんか?

《スレッドの説明》
ここはファンタジー日常なりきりです
この世界では科学技術は殆ど発展していません。文明の基準としては十四世紀程度と考えてください。ですが、服装や食べ物などの娯楽面の規制は緩いのであまり気にしなくていいと思います
キャラクターの種族は何でもありですが、ファンタジーの世界観を損なうものであると判断された場合は使用を控えていただく事になるでしょう
キャラクターの設定は雑談スレッドに投下し、参加者が内容を見て問題が無ければ使用が可能となります
また、キャラクターには世界観などとの兼ね合いもあり、あまりに世界観からかけ離れている者、町や周りのキャラに著しい被害を及ぼす者、不自然な者、強過ぎると判断された者は禁止しています
ロールは相手がいて成り立つ遊びです。ルールを守って楽しいロールをしましょう!
次スレは>>950が立ててください!

《参加方法》
①キャラクターを作る
②みんなに見てもらう
③そのキャラクターでロールが出来ます!

《キャラクターテンプレート》
【名前】
【性別】
【年齢】
【容姿】
【性格】
【能力】
【持ち物】
【職業】
【背景】

wiki《http://wikiwiki.jp/1stone2bird/?FrontPage
536クシー・ディベルティメント◆80EdJqQhyM2016/11/18(金)22:51:33 YAg
>>535
「ギルド……ああ、なるほどねえ。通りで慣れてるわけだよ」

そして、手を握って少なからず驚く。
若そうなわりに、随分としっかりしている手だと思ったためである。だが、そのあとの言葉を聞いて納得した。

「あんた、若いわりにしゃべり方がかったいもんねえ」
「あたしみたいに、ババアになってこんなんなのも考えものだけどさ」

さくっと正直な感想を言って笑い飛ばしているが、自分とそう歳が変わらないように見える人間に言われても、戸惑うだけだろう。

「いやー、本当にねえ。下手すればこれで脅してあたしの方が捕まってたかも」

腰に差している剣を指差す。流石にこれは冗談だが……?
537アリス◆FOpQRm.OW22016/11/18(金)23:07:29 6PB
>>536
 喋り方が固いと言われれば、眉がむっと寄る。
 確かにそうだ、そうなのだが……こう、分かっていることだからあまり言われるのは嬉しくない。

「まぁそうだが……というか歳はあまり変わらないだろう? そちらも随分変わっているのか……?」
「私も直そうとはしているが、馴染んでしまうと口調を変えるのはかなり難しいな。変えると違和感がひどい」

 悩ましそうに、そう言う。
 事実、悩んでいるのだろう。ただ、変えるのが難しいだけで。

「む、暴力に訴えるのは良くない。使用せざるをえない場合は仕方ないが、その意図を汲むのは立場的に難しいのでな、覚悟の上でやってもらうことになるだろう」
「………………いや、冗談か? 冗談ならすまない」

 真面目に、真剣にそう答えるアリス。
 だが少し経ってから、冗談の可能性に思い至ったアリスは、不安そうにそう聞いてみる。
 まぁ事実、冗談なのだろうが。
538クシー・ディベルティメント◆80EdJqQhyM2016/11/18(金)23:14:41 YAg
>>537
「あたしゃ、多分これであんたの5倍はは越してるよ」
「あー……まあ、分からんでもないねえ」

こちらはこちらで、結構苦労したようである。アリスとは逆に、堅苦しく喋る方への苦労だが。
そんなこんなで眉を寄せた嫌そうな顔も、なんとなく微笑ましく見てしまう。これ以上はあまりつつかないが。

「────は、あははははは!いやー、そうだねえ。覚悟、覚悟かあ」

真面目なその言葉に、一瞬目を剥き、そのあと盛大に笑いだした。

「アリス、あんた面白いねえ。むしろそのままの方がいいかもしれないよ」
539アリス◆FOpQRm.OW22016/11/18(金)23:27:44 6PB
>>538
「五倍……? 種族の違いか、どうもやりにくいな、人にしか見えないから間違えてしまったではないか」

 といいつつも、嫌そうな雰囲気はない。
 ただ、少しわかりやすい特徴が欲しいとは思っているようだ。

「な、何故笑う!? 私は普通のことを言っているはずなんだか!」
「ぐ、ぅ……まぁいい、何を言われようと直したいことには変わらないからな」

 困惑したように声を荒げる。
 だがその当惑を隠そうと、アリスは言葉を繕った
540クシー・ディベルティメント◆80EdJqQhyM2016/11/18(金)23:44:54 YAg
>>539
「世の中は分かりにくいもんさ!強いて言うなら眼と髪の色くらいかねえ」

まあ、その辺りに普通に居たりはするのだが、少々珍しい……のかな、ということで。
大分ぼんやりした特徴だ。

「それが変わってるんだよ。あー、おっかしい」
「…………じゃあまず、盛り場にでも行ってみたらどうだい?それも若者が中心のところでさ」

あとは、いっそダンスでもやってみるか
くくくっと喉で笑ってはいるが、これで案外真剣である。
541アリス◆FOpQRm.OW22016/11/19(土)16:59:54 5k9
>>540
「眼と髪の色……か。難しい話だな」

 種族の特徴が出る場所でもあり、だからこそ詳しくなければ判別が不可能な場所でもある。
 彼女の兄ならば、あるいは見抜くかもしれないのだが。望むべくはないだろう。

「む、確かに苦手な場所ではあるが、それもまた一つの手か……」
「その場所に付き合ってもらってもよいだろうか、今は任務中であるが、また次の機会などに」

 いい提案だ、アリスが躊躇いを覚えるくらいにはいい案である。
 良薬口に苦し。ハイリスクであるほどリターンは実感しやすい。
542クシー・ディベルティメント◆80EdJqQhyM2016/11/19(土)20:58:59 QzR
>>541
「まあ、適当適当。気になるなら、直接訊きゃあいいのは」

そういって、彼女の言葉を豪快に笑い飛ばす。
これはひょっとすると、足して2で割るくらいが丁度いいのかもしれない。

「いいよいいよ!むしろ喜んで!」
「その時は、みっちり楽しんじゃおうかねえ。ひっひっひ」

……悪い顔である。
不慣れなアリスを引きずり回す気満々な様子が見て取れるだろうか。
543アリス◆FOpQRm.OW22016/11/19(土)21:06:06 5k9
>>542
 確かにと納得した。
 確かに……そう確かに、聞けばわかる。単純な話だ。
 だが、いちいち種族を聞くというのも面倒だというのを、まだアリスは気づいていない。

「……むっ、いや、いい。その時はよろしく頼む」

 なんだか嫌な予感がしたが、アリスは無視した。
 そういう少しくらいの予感は無視して押し通すのがよいのだ、死ぬわけではないし。

「そうだな、私はそろそろ見回りに戻る」
「面倒ごとに巻き込まれないよう寄り道はよしたほうがいいと忠告はしておくぞ。もちろん、起こすのもダメだ」

 それではな、と去って行くだろうか。
 まぁもちろん、話すことがあるなら足を止めるのだが
544セレネ◆55Rq1Tu8Bo2016/11/23(水)00:15:31 Pv0
霧の港町、コスタ・ノエ。
その二つ名に相応しく、今宵の町は深い霧で覆われていた。

「あー、やだやだ!これから雪の時期になるし……」
「そろそろ防寒具も新調した方がいいかな……穴が」

前方数メートルも見えないような町を歩いているのは、ミノタウルス族の自警団員、セレネだ。
気温も下がり、自慢の身体を防寒具で覆ってはいるものの……
ワーボアの皮を使った防寒具の一部には虫食い穴や破れた痕がちらほら。
やだやだお酒飲みたい、などと愚痴を言いながら、深夜の町を警邏して回っているのである。
545ラークス◆FOpQRm.OW22016/11/23(水)00:26:40 teU
>>544
 ラークスが彼女を見つけたのは偶然であった。
 くすんだ金色の髪、青い瞳、セレナのものとは違い、丈夫なコートや服はそれなりの値段がするものだと察せられるだろうか。
 ふむ、と一瞬真顔で悩んだのちに、商売用の笑顔で話しかける。

「やっ、そこの自警団のお姉さん。 随分寒そうな服ですね、これからの寒さ、こんな夜遅くに見回りなどしてしまうと寒さが大変な時期でしょう?」

 寒いですよね、なんて言いながらラークスの服装は寒そうではない。
 いや、寒さがないわけではないだろうが……軽減の度合いで言えば、セレネのと比べれば寒さがないと言い切れそうだ。
 そしてまぁ、ラークスにそれを後ろめたく思う感情は見当たらない。

「で、いつも商売をさせてもらっている私としても自警団の貴女が震えながら警備をする姿を見るのは忍びない!」
「寒くなってくる時期ですので毛皮を仕入れたんですが、まさかこんなに早く機会に恵まれるとは。どうです? 毛皮のコート、質はそれぞれ差がありますが、お安く売るつもりですよ?」

 霧などでぼやけているが、よく見ればラークスは台車を引いている。
 後ろに積まれているのは毛皮の服だろうか。霧から守るためなのか、シーツが上に敷かれていて中身は見えない。
546セレネ◆55Rq1Tu8Bo2016/11/23(水)00:37:24 Pv0
>>545
声をかけた後、まず感じるのはラークスを怪しむ視線だろうか。
じとりとラークスを見るセレネ。明らかに、相手が怪しい人物でないかを疑っている!

それもそうだろう。なんといっても今は霧の夜。そしてセレネは警邏中。
いくらセレネがお人好しとはいえ……はいじゃあコート欲しいです、と行かないのが夜の警邏の厳しいところ。
一応相手が裏の商人でないか、自分を騙そうとしていないかを確認する必要があるのだ。
もっとも、その態度が思いっきり表に出てしまっているのはどうかと思うが。

「…………おいくらですかぁ?素材は?仕入れ先はぁ?」
「は~……ごめんね、こっちもいちおー仕事だからさあ」
「夜の商売人、なんて怪しさ満点なのに声かけられてさ。あたしとしても簡単に商談に移るワケにもいかないんだあ……」

「その。いちお、荷台の中見せてもらってもいーい?」
「あー、あたしはセレネ。ここの自警団員。自己紹介くらいはしておかないと、ね?」

やる気、なし!
だがそれでも、やる気がないなりに職務を果たそうとするセレネ。
防寒具に括り付けた自警団の紋章を見せ、身分を示しながらラークスの後ろにある台車に近付こうとするのだ。
547ラークス◆FOpQRm.OW22016/11/23(水)13:56:39 teU
>>546
 警戒されてしまったようだが、職務を全うするのはいい事だ。
 ラークスとしても、少し見通しが甘かったのは確かにあるのだがそれでもこの程度の悪い感触で怯むような商人ではない。
 商品に対する自信や自負を信じられる範囲で押すのが彼のやり方なのだ。
 まぁそういうわけで、ラークスはセレネの視線、そして棘のある言葉に対して笑みを浮かべたまま荷車の前から引く。

「もちろんどうぞ、私は商売貴女は警備、お互いの職務を果たすことこそ主の望む事だと思います」
「荷台には確か毛皮と、香水と装飾品ですかね。後は自分の手荷物一式、魔道具の類は夜中に持ち歩くのが躊躇われたので自宅へ」

 つらつらと記憶している商品の数を羅列するラークス。
 自分で買った商品だからだろう、数を聞けばそれも正確に答えるはずだ。

「セレネさんですか。私はラークス、商談まで発展するように商業の神にお祈りしておきます」

 ごゆるりと調べてくださいと自信満々に言う。
 中に変なものはないだろう。まぁ、ここはコスタ・ノエ、もしかしたらどっかで悪意を拾っている可能性もある。
548セレネ◆55Rq1Tu8Bo2016/11/23(水)15:21:50 Pv0
>>547
「毛皮、香水、装飾品、ね……うんうん、数も揃ってる」
「はー、それにしてもスゴイわ商人って」
「あたしだったらこんなのどこで何仕入れたとか絶対覚えてらんないもん」

念のため商品の個数も聞き、その数と実際の数があっているかを確認。
セレネ的には気をつけて触っているつもりなのだが、それでも雑な触り方になっているのはお約束か。
特に香水瓶を手に持つ時なんかは、ガチャガチャと音を立てて扱っているのだから彼にとっては心穏やかではないかもしれない。

「確かに魔導具はねえ……奪われたら大損害なんかじゃすまなさそうかも」
「にしても……あんたも商人でしょ~?」
「ココで霧の夜に歩くことがどーいうことだか、知らないワケじゃあるまいし……まったく」
「今度からは気をつけなよー?会ったのがあたしだったからいいものを、さ」

荷と荷の隙間もチラリと覗き見るも、怪しげなものは見つからない。
霧の夜に歩くなとの忠告が出たあたり、これで荷物チェックは終わりだと見ていいだろう。
随分あっさりした検査だったが、この手のことは実は苦手なセレネ。
昼間に荒くれ者を追いかけて斧を振り回している方が性にあっているのだ。

「いやあ、呼び止めて悪かったね!ごめんごめん!」
「で……さっきコートがどう、とか言ってたけどさ。例えばこれとかはいくらになるワケ?」

そして検査が終われば、先ほどとは打って変わって明るい口調になる。
適当に暖かそうなコートを指先で摘んで値段を聞いてみるものの……扱い方はやっぱり雑なのだ!
549ラークス◆FOpQRm.OW22016/11/23(水)18:08:07 teU
>>548
「それは慣れですね、覚えてないと紹介する時に説得力がなくなりますし」

 必要に迫られてですよと笑う。
 露天だが、行商人でもある。あちこちに飛んで売りに行くその生活スタイルからも、何処から何時持ってきたのかと言うのが分からないのはかなり不利なのだろう。
 職業上の特徴、なのかもしれない。

「この時間帯になると寒さに凍えている人がいますからね、確かにリスクは高いですが身入りも多いですよ」
「っと失礼、寒さに凍えている人の前で言ってはいけないんだった。今のは忘れてくれるとありがたいです」
「ええ、セレネさんのような優しい方に会えたのは僥倖でしょう。見ての通り単なる行商人、破産はなくても狙われると危険な事には変わりありませんし」

 芝居っぽく口を押さえるラークス。
 おどけた様子の彼だが危機感はしっかりあるようだ。手荷物の中には銀のナイフなどが入っているので、低級なものと関わるくらいなら大丈夫なのだが。

「ん、そのコートですか? 失礼」

 セレネが目をつけたコートを軽く触って確かめる。
 目を閉じ、ふむふむと頷いてから手を離す。

「これは良いものですね。鹿の毛皮で丈夫、自警団などの作業でも着ているだけでコートが痛むものですが、これならほとんど心配はいらないでしょう」
「仕入れ値から計算すれば……銀貨5枚でしょうか」

 一瞬の間はそろばんを弾く間だろうか。
 まぁもちろん他の商品もあるから、それで決める必要もないが、割とニーズにあっているような気がしなくもない。
 セレネの性格次第だろう。
550セレネ◆55Rq1Tu8Bo2016/11/23(水)21:03:35 Pv0
>>549
慣れか。そう言われると納得せざるを得ない。
斧を振り回すのだって、最初は苦労した覚えがあるから商売だってそんなものなんだろう。

「……この町なら、コート売って回るよりお酒売った方がいいんじゃなーい?」
「少なくともさ、いきなりコート売る~って言われるより、あたしは酒の方を買うかも……あっはっはっは!」

ただでさえ寒くなってきた中、この霧だ。
外套も欲しいが酒もほしい。暖かいツマミもあればなお良し。
そこは素直に酒場に行くべきなんだろうが……警備任務中の身が辛い。勤務中の飲酒、ダメ、ゼッタイ。

そして、持っているコートが銀貨5枚だと知れば慌てて指を離すセレネ。
銀貨5枚?5枚だって?……いや外套にすれば安いのだろう、が……

「……あそこの酒場でいつも飲む時が銅貨5枚くらいで」
「だからええとええと…………え、めっちゃガマンしなきゃいけないじゃん!」

つい口をついて出たのは、普段の飲み代とコートの比較だ!
さすがにそこは飲むのを我慢してコートを買った方がいい、と結論付けるのが普通の理性的な考え方。
しかしセレネの場合、コートを買うためにはたくさん晩酌を我慢しなきゃいけない嫌だと思ってしまうらしい!
ダメ人間……いや、ダメミノタウルス族とはこのことか。
けれど穴開きコートのせいで寒いというのも事実。
酒か。外套か。警邏中というのにこんなことでうんうん悩む自警団は、セレネくらいなものだろう。
551ラークス◆FOpQRm.OW22016/11/23(水)22:06:15 teU
>>550
「酒は酒場でのんびり飲むほうが需要に合ってます。それに何より、お酒が好きで夜出歩くようなお方に商売をしたくはないと思いますからね」

 意味深に笑うラークスはつまりこう言いたいのだろう。
 お酒を好んでいるのに、酒場に行かずウロウロしているような人と商売するのは危険だと。
 まぁ、寒さを感じながら夜歩く人も少なそうではあるが、酒よりは安全そうだ。
 そしてまぁ、酒好きなセレネに対する皮肉になっていそうだが、それは偶然というものだろう。書いてて気づいた。

「……ふむ、確かにそうですね」
「しかしそうなると、鹿の毛皮でなければ……こちらなどどうですか? 狼の毛皮で、銀貨二枚程度です」
「少々固いですが、丈夫ともとれますし他の物と比べても悪くないかと」

 渋る彼女に高いものを売りつけるよりは安いものを探しておくほうが良い。お互いのためにも、利益のためにも。
 狼の毛皮、コート風に加工されたそれは見た目なら十分様になるだろう。少しワイルドな感じが出ているのだが、それはそれで、とも言える。
 ……まぁ、鹿と比べるとどうしても見劣りせざるを得ないが。
552セレネ◆55Rq1Tu8Bo2016/11/23(水)22:19:11 Pv0
>>551
「あはははは!確かにそーだね!」
「なあるほど、適当に言ってはみたもののそーいうモノの見方もあるワケかあ……」
「確かに酔っ払い相手の商売はメンドそうだもんねー!」

皮肉には気付かず、ラークスの言葉をけろりと笑い飛ばす。
うん、彼女はきっと馬鹿なんだろう。
背中に大きな斧を背負っている辺り、力にモノを云わせそうなタイプの馬鹿。
たまにはこの手の馬鹿も役に立つ時はあるのだが……ラークスにとっては、今がその時なのかもしれない。

「……っと、狼か……おーかみ……」
「ん~……なんか、やだなあ……あ、いやね?」
「知り合いにクッソ生意気なぼーやがいるんだけどさあ……人狼なんだよねえ」
「あー、いやいや!別に気ぃ遣ってるワケじゃないけどさ……ほらま、一応?」
「揉めるタネになっても、あたしとしてはヤなワケさ……悪いね、注文多くって」
「てことで……こう、何。その……鹿と狼の中間、ってのはー……」
「……そんな具合のいいものあったりしない?」

一方で、狼の毛皮を勧められればどこか歯切れが悪そうに答えるセレネ。
値段の方は申し分なし。見た目も悪くない。
野性味が溢れる感じで、斧を振り回す自分にはぴったりの代物だろう。
……問題は素材だ。このコートを着ていることで、あの二重性別の人狼に落ち込まれでもしたらなんだか気分が落ち込むというもの。
いい買い物だとは思うが……セレネにしては珍しく後々のことを考え、2度目のチェンジ。
もしも『そう都合のいいものはない』と言われでもしたらーーまあ、その時はその時だ。
553ラークス◆FOpQRm.OW22016/11/23(水)22:37:07 teU
>>552
 む、その可能性は考えてなかったとラークスは思わず頭を抱えそうになる。
 確かにそうか、そう考えると狼は……いや大丈夫だろう、その不安は杞憂で終わる、そのはずだ。

「それは確かに困りましたね……ふむ、ふむ」
「では猪でどうでしょう? これはワーボアの素材らしく、ロアールの近くで取れた中ではかなりの良品ですよ」
「ほら、こんなに引っ張ってもビクともしない。……惜しむらくは単なる毛皮でして、加工職人に渡さないとどうにもならない点ですね」

 出したのは猪の毛皮……だが、そのままの毛皮だ。
 服の素材として扱わないといけない。つまり面倒なものであり……あんまり進めたくないものである。
 ラークスとしては、売りにくい商品でもあるのだが……自由度が高いのでその分値段は上乗せさせてもらう事になるだろう。
 頭の中でそろばんをパチパチ。

「銀貨1枚と銅貨5枚。うん、ここらへんが落とし所ですかね」
「他には……あんまりないです。私が扱うのは貴族の方などの、お転婆なお嬢様たちが多くて、狐や貂が多いんです」

 そこらへんは申し訳ないと、目を伏せた。
554セレネ◆55Rq1Tu8Bo2016/11/23(水)22:54:20 Pv0
>>553
「……つまりはあたしの外套きっちりリニューアル、ってワケかあ」
「んー……。……ま、いっか!あたしとしても、慣れた素材の方が着心地がいいってもんだし!」
「キツネとかテンとか……あはは、ンな上等なもんあたしが着ても、泥だらけにして終わっちゃいそーだからね!」
「それに、最初の鹿皮よりも安いっ!うんうん、安いのはいーことだ、うんっ!」

高級なものより、ありふれた猪皮の方が使い勝手がいい。
すぐに使える外套という形でないことだけが残念だが……そんなこともあるだろう、と思うことにした。
値段に異議はなかったらしく、財布から銀貨と銅貨を出してお会計。ちなみにお釣りはきっちりもらう派である。

「やー、中々助かったかもしんないなー……」
「あたしこーいうの、結構後回しにしちゃうからさ……」
「どっちかっていうと、ダンジョンに潜る用の装備とか気になっちゃって……たはは」

「それにしても……毛皮の職人か……あんま縁がないな」
「ロアール行って、タリアがいれば一応頼んで……ん、でもタリアは鍛冶師だもんなあ……」
「ねね、ラークス。あんたさ、腕のいい毛皮職人とかに覚えあったりしない?」

お世辞にも服飾に興味があるようには見えないセレネ。
身につけているのは、傷のついた大斧に頑丈そうなガントレット、それと穴の開いたコート。
…………がさつが服を着て歩いているようなものだった。
もしもラークスがどこかいい店を知っているのなら、迷うことなく買った猪皮をそこへ持ち込むつもりだ。
555ラークス◆FOpQRm.OW22016/11/23(水)23:15:24 teU
>>554
「ええ、綺麗にしておいた方が警備の時も楽ですよ」
「どんな物も良い人が着れば似合うものです。人に合わせるのではなく服が合わせるように、貴方ならどんな服も着こなせるような気がしますよ」
「それに、ワーボアですから丈夫です。折り紙つきですよ」

 しっかり代金を受け取り、ラークスは握手を求める。
 商談の締結時には握手。彼の習慣のようなものだ。

「装備ですか。魔法具も時々並びますから時々露店を見に来られると掘り出し物があるかもしれませんね」
「大通りの海近くに……あの居酒屋の近くです、そう、そこらへんでよく風呂敷を広げてますから良ければ」
「もちろん、装備の他にも身嗜みなどを整えるものも売っています。セレネさんは元がいいですから、割安で売れる物も多いかもしれませんね」

 ここら辺はなんとなく趣味の範疇な気がする。
 理由は……ラークスの熱意というか、勢いというか、なんかそういうものが強いからだろうか。面白がるようなものも混じっているが。
 
「毛皮職人でしたら、先程のコートを加工してもらったところがお得意様ですね。後は……後は、ロアールに数店。私の名前を出せば、それなりの縁ですし少しお得になるかもしれません」

 考えた後に、メモをしていくつかの店を紹介する。
 気になるところを探すもよし、適当に言って見るもよし。である。

「あ、そうだ」

 と、ここで思い出したように手を打つ。

「今度お食事でもどうです?」
556セレネ◆55Rq1Tu8Bo2016/11/23(水)23:28:58 Pv0
>>555
「ちょっとちょっと、やめてよー!本気にしちゃったらどーすんのさあ!」
「んっふっふ~。それにしてもいー買い物だったと思うよ、ありがとね!」

やめろと言いながらも割とデレデレしている辺り、分かりやすい性格だ。
どこぞの人狼が見ていようものなら氷の視線を向けられるか、バカだアホだと罵られるかのどちらかだろう。
しかし幸いにも彼だか彼女だかはここにいない。
ラークスの明らかなお世辞にもセレネは気分を大いに良くし、デレ顔のまま握手に応じるのだ。

「あー、あの酒場の近くね!オッケーオッケー!」
「あっちの方はあたし良く行くから、近くまで行ったらまた覗いてみよっかな!」
「……っと。はー、さすが商人!いろんな店知ってんねー!」
「こっちはありがたく頂戴するよ!多分どれかの店に頼むことにはなると思うけどさ」

確かに最近、あの大通りに風呂敷を広げている商人がいたような気がする。
あれはラークスだったのかと納得し、機会があれば行くと約束した。
面白いものがあれば、試しに知り合いの古物商に見せびらかしに行くのも悪くない……だなんて思っているのは秘密である。

そして最後の誘いに対してはーー

「…………えへへー、喜んでー!」

デレッ!
チョロい!こんなチョロい牛女に警備を任せて大丈夫なのかコスタ・ノエ!!!
557ラークス◆FOpQRm.OW22016/11/23(水)23:39:07 teU
>>556
 そんなセレネの様子を見て、こう、癒されたのはラークスの内緒である。
 商売人としての笑顔の鎧は崩されないものの、裏では色々身悶えている。割とこういう言葉はすんなり流されがちなのだ。

「ええ、よろしければぜひ」
「非番でしたら酒場でのんびり飲むのも良さそうですよね」

 そうして打った布石。
 ラークスは、純情な方ではないものの、女性と親しくなるのは結構好きだった。
 真剣にというほどではないものの、遊びというほど浅くはない。適度というか中途半端というかは女性によるだろう。

「では、空いている日に。安息日でも良いかもしれませんね」
「今度空いていたら、私の好きな店を紹介しましょう」

 内心はガッツポーズ。
 やっぱり夜間の販売は実入りがデカイ。ラークスはそんなウキウキした気分で今日の一日を締めくくろうと思い、荷車に布をかけ直す。

「それでは、また空いましょうセレネさん」
「できれば、次の安息日に霧が出ていないことを祈ります」

 ではまた、たいって去っていくだろうか。
 今日はいい日だ。流れが来ている。そんな感慨を抱きつつ
558セレネ◆55Rq1Tu8Bo2016/11/23(水)23:49:15 Pv0
>>557
「んじゃま、非番の日にあんたがさっき言ってた通りに行ってみるよ!」
「もちろん……自警団の詰所に顔出してもらってもいーけど、ね」
「夜に仕事ない日だったら、仕事終わりに飲みに行けるし、さ」

やはりデレデレしながら、そう答えるセレネ。
純情なのか遊び好きなのか……いや、純情ってことはないだろう。
ただ単純に何も考えてないだけ。そう思ってよさそうだ。

「んじゃねー、ラークス。夜はまだまだ長いから、気をつけるんだよー!」

「……。…………でへへ」
「ふっふっふ~ん!さっそわーれちゃったー!」

そして去っていくラークスに別れの言葉を告げた後。その場に残るのは緩みきった顔のセレネ。
デートだデート、なんて言いながらスキップしつつ警備に戻るのだが……
果たしてそれが本当に警備の仕事になっていたかというと、疑問が残るのであった。
559シェルフィ◆L1x45m6BVM2016/11/24(木)21:26:36 Edw
 冷え込みが目立ってきたロアールの街並み、衣類を着込む人々が目立ってきた中で、目立つ格好をした少女が一人居た。
 簡単に言えば白い布を身体に巻いた。そんな格好を青みがかった白い髪の少女はしていた。

「……ふぅー……」

 水色のジト目をさらに閉じて何かをやりきったような息を吐く。
 そんな少女の腰掛ける場所は……巨大な貝。誰がなんと見ようが巨大な二枚貝である。
 片手に今の時期には美味となる温かな焼き芋が入った袋を抱えていた。さて、こんな少女に声をかけてくれる人物とは居るだろうか。
560カペラ・トラクトゥス◆80EdJqQhyM2016/11/24(木)21:34:36 Mh4
>>559
「お嬢さん、随分と寒そうな格好をしているね?」

声をかける人物は……いた。
ハロー、と言いながら、ひょいひょいと少女に近付く男。その男は、大きなトランクを右手に持ち、薄いコートを着込んでいる。

「その貝は、作り物なのかい?だとするなら、凄くいいできだね!」

かなり馴れ馴れしく話しかけてくる男に、少女はどんな対応をするだろうか。
561シェルフィ◆L1x45m6BVM2016/11/24(木)21:42:12 Edw
>>560
「ひゃあっ!?」

 あろうことか少女は声をかけられた途端に体を跳ねさせて貝殻を開いてその中へと飛び込んでしまった。
 その際、片手に抱えていた焼き芋入りの袋を男の前に落としてしまうのにも気付けずに。

「……つ、作り物じゃないよ!」

 貝殻の中から否定の言葉を投げ掛ける。姿も見ずに見せずに言ってしまうのは果たして度胸があるのか無いのかさっぱりで。 

「…………あれ!?」

 否定のあと、貝殻の中からすっとんきょうな声が出てくる。恐らく落とした袋にやっと気付いたというところだ。
 貝殻の口がうっすらと開き、中から不安そうな目で外を覗き込むフリーダムな少女に対する男の反応やいかに。
562カペラ・トラクトゥス◆80EdJqQhyM2016/11/24(木)21:48:47 Mh4
>>561
「ひゃあ?…………ん?落としたけれど、これはいいのかい?」

はて、と首をかしげながら袋を拾っているが、原因は完全にこいつにある。
入れるのかー、と言わんばかりに貝殻を眺めた。

「おー、凄いねえ。持ち歩くのは重かったりしないものなのかな」

にこにこと笑いながら、貝に向かって話しかける。
周囲の人の目は少々冷たいが、そんなことは気にしないらしい。

「ああ、これ……落ちてしまったから、買い直そうか?」
563シェルフィ◆L1x45m6BVM2016/11/24(木)21:57:05 Edw
>>562
「お、重くないもん、失礼な……」

 貝殻の重さも自分の重さも同じ扱いの気配がするのは言葉のせいだろうか。
 周囲の目に若干怯えながら少女は男の声に反応し、袋の在処を知った。

「だ、大丈夫……だから返して……」

 男の方からすれば恐らく気遣いだったのだろうが少女には取られた感覚になったらしく、震えた声でそれを求めた。
 震えた少女の細い手が貝殻の口から出てきているその姿は見方によって感想が変わるだろう。
 袋をその手に渡した場合、手は目にもとまらぬ早さで引っ込んでしまうだろう。事情説明するかしないかは男次第だ。
564カペラ・トラクトゥス◆80EdJqQhyM2016/11/24(木)22:07:12 Mh4
>>563
「失礼?む、そう聞こえたのならすまなかったね」

そんなことを言ったつもりはないのだけれど。
こちらはこちらで、全くもって自分の失言に気づいていないようである。
……どっちもどっち、というのこそ失礼だろうか。

「う、うん。なにやら勘違いしている気がするなあ。取ろうって言うんじゃないよ?」

職業的に少女、というか人に怖がられるなどという経験はなかなかないため、こちらもかなり同様気味だ。
ほーら出ておいでー、と言いながら、手品の様に袖口から花を出して見せたが、効果の程は……
565シェルフィ◆L1x45m6BVM2016/11/24(木)22:17:55 Edw
>>564
 許す、と超小声で少女は言った。ほとんどの人が聞き返しそうなほどか細い声量だったが。

「そ、それなら良いけど……。…………ありがと」

 何分、それを入手するのに少女なりに苦労したらしく男性の方がその気が無くとも少女の性格が悪い方向に導いてしまっている。
 こっそりお礼の言葉を言いつつ、呼び掛けに応じたのか貝殻の隙間から目を覗かせたところから反応は一変した。

「……わっ! すごい! どこから出したの!?」

 目にした手品が珍しかったのか、少女は貝殻の隙間から飛び出るように上半身を外に出した。
 その顔は先程までの怯えが嘘に見えるくらいにキラキラとしている。効果はばつぐんだ!
566カペラ・トラクトゥス◆80EdJqQhyM2016/11/24(木)22:34:46 Mh4
>>565
なんと言ったのかはまあご想像通り聞こえなかったが、とりあえず微笑んでおいた。

「!……ふっふっふ。これは不思議な空間から出したのだよ!凄いなんて誉められたら、もっとやりたくなっちゃうなあ」

少女が出てきたのを見て、本当に嬉しそうな笑顔を浮かべた。やはりこれは老若男女問わず、受けが狙えるらしい。
いそいそとトランクからボールを四つほど取り出した。

「ほーら、こんなのはどうだい?」

そして、最初はゆっくりと少ない数のボールでジャグリングを始め、徐々に増やしていく。
567シェルフィ◆L1x45m6BVM2016/11/24(木)22:41:59 Edw
>>566
「も、もっと! もっと見せて!」

 先程までの怯えは本当になんだったのか。そう思わせるほどに積極的に披露を求める。
 ボールを取り出した男性を見て、普通に取り出したので一度は「?」を浮かべたが、そのあとのジャグリングを見て。

「わあー! すごいすごい! もっとできるの?」

 複数の手玉をジャグリングする遊びは子供の頃に試して失敗する者も居るだろう。少女もその一人だ。
 だから少女は拍手と共に賞賛し、更なる要求をするのだ。……ハードルがどんどん上がりそうなので男性の大人な判断力が試されている気がしなくもないが。
568カペラ・トラクトゥス◆80EdJqQhyM2016/11/24(木)22:50:51 Mh4
>>567
「はっはっは!良かろう、見るがいいよ!」

ついでにと言わんばかりに、そばにおいてあった大きめの玉に飛び乗りサービスしてみせる。
その手の中で回っている数は12個。かなりのものだ。

「よっ……と!流石にこれ以上は危ないかなあ、どう?楽しかったかい?」

玉を飛び降りて、先程だした花を差し出す。
個人的には、わりと改心の出来だったと思うのだが……
569シェルフィ◆L1x45m6BVM2016/11/24(木)23:00:55 Edw
>>568
「あ、それはあぶな……できるの!? どうやってるの!? すごい、すごーい!!」

 さすがに危険では?と思ったのも束の間、男性の技術に最早少女は危険性も何も気にすることなく彼を讃えた。語彙力不足が顕著だが。
 いつのまにか少女は貝殻の中から全身を出しており、すっかり男性のサービスに夢中だった。

「うん! 楽しかった! ……? く、くれるの?」

 怯えた顔はどこに消えたか、笑顔で感想を述べたと思えば差し出される花に首を傾げる。
 それに頷けば少女は貝殻の中から出した焼き芋……ではなく小さな真珠を差し出すだろう。お捻り代わりらしい。
 焼き芋ではない理由は、まあ落としたからである。さすがにそこまで失礼ではない。
570カペラ・トラクトゥス◆80EdJqQhyM2016/11/24(木)23:12:28 Mh4
>>569
「む、そうだろうそうだろう!そんなに誉めてくれるなんて、嬉しいよ!」

語彙力は殻から出てきてくれた、ということで中和されているらしく、くふふと含み笑いを返す。
そして、少女の問いかけに笑顔のまま頷き、今度はこちらが首をかしげた。

「今のは、怖がらせたのと焼き芋のお詫びだよ?」

どうやら、本気でそう思ってるらしい。
それに、ちゃっかり開きっぱなしにしていた鞄には、通行人からのお捻りが少しばかりではあるが入れられていた。
571シェルフィ◆L1x45m6BVM2016/11/24(木)23:19:17 Edw
>>570
 ひとまず円満に治まった、といって良いだろう。
 特に少女からすれば一度は怖がった相手に再び顔を合わせられたのは前進である。

「? ………………あれ?」

 お詫び、という言葉に此方も首を傾げてしまった。何処からがお詫びかが曖昧だったらしい。
 少女にとってはどれも珍しい見せ物だったが。

「う、うーん? …………い、良いの?」

 少女としてはお礼、の感覚に近かった様子で、一度混乱しかけたが落ち着くためか貝殻を背負い、首を傾げつつ、一応の確認。
 ただ、ジト目と様子からしょげてる様に見えなくもないのだが。

 これがすれ違いなのだろうか、それは当人にはわからない。
572カペラ・トラクトゥス◆80EdJqQhyM2016/11/24(木)23:26:12 Mh4
>>571
「うん。全然構わないよ?びっくりさせたのは僕だからね」

というか、むしろあのままだったら大道芸人の沽券に関わってしまう。
ジト目……は、素なのかしょげているのか分かりかねている。さて、どうしたものか……

「あ」

いいことを思い付いた、と言うように手を叩く。

「今度会ったときに、もっと凄い技を用意しておこう。その時感動したら、それをおくれよ」

個人的には、非常にいい案だと思うのだが…
573シェルフィ◆L1x45m6BVM2016/11/24(木)23:33:37 Edw
>>572
「そっかー……」

 ちょっと残念そうにしたのは一瞬、その後の提案に彼女は笑う。

「……! わかった! 約束するよ! それまで置いとくね!」

 少女にとっても良き提案になったようで、少女は楽しみと、いいながら真珠をしまう。

「そうだ、貴方の名前は? 私はシェルフィ! ……またよろしくね?」

 さすれば次に会ったときのためにと名前を聞くだろう。そして聞ければよいしょ、と立ち上がる。
 疲れも取れて、また何かを始めるのだろう。単なるぶらつきになるだろうが。
574カペラ・トラクトゥス◆80EdJqQhyM2016/11/24(木)23:42:09 Mh4
>>573
「うん、約束だ。僕も楽しみだよ」

そう返し、こちらもトランクに先程のボール達を詰めていく。
なんとなく詰め終わったところに、少女の問いかけが来た。

「僕はカペラ。カペラ・トラクトゥスさ。よろしく、シェルフィ。また会おう!」

最後に軽くウィンクをして、その場を立ち去るべく歩き出した。
575オクス=ジャン◆K17zrcUAbw2016/11/25(金)22:53:12 DBV
元より治安が良い、とは言い難い港町。
夜ともなれば何だか怪しげな雰囲気の露店やら路上での喧嘩、或いは酒場での取っ組み合も珍しくは無いだろう。
そんな中、一人の男が草臥れた帽子を被り縒れた上着を羽織りながら喧騒の中を歩く。
血の気が多い……と言う訳でも無いが度々暴力沙汰を引き起こしている男に変わろうとする者は少なくともこの場には居らず。
肩がぶつかって変に因縁を付けられない様にと少しばかり行く道が開けるのだから変に目立ってもいた。

「……チッ。俺が見てないのを良い事にイカサマしやがって……」
「次に見掛けたらあの野郎絶対に泣かせてやるからな……」

コスタ・ノエに探偵事務所を構えるこの男。
飲み代のツケを一向に払う気配が無いだとか、探偵の癖にそれらしい仕事をしている所を見た事が無いとか散々な言われよう。
たが本人はそんなのはどこ吹く風で、我が物顔でこの夜道を歩くのだ。
例えば、急に人が出てきたりすればぶつかる事は間違い無く。
それが女子供であれば、男のガタイが良い事もあり弾き飛ばされる事も有り得ない話では無い……か。
576ユナ◆FOpQRm.OW22016/11/25(金)23:08:28 5wT
>>575
 そんな男の前に、いつの間にか現れる少女が一人。
 少し滲むように出て来る霧。黒い髪に赤い瞳の少女は、如何にも吸血鬼然とした服装で男の目の前に現れて胸を張る。

「ふっふーん! さぁ、夜といえばきゅ――」

 まぁもちろん、ぶつかるのだが。
 進路にいきなり現れればそれはそうなる。ぶつかってしまえば、軽い体はよろめいて尻餅をついた。
 鼻をぶつけたのか、手でさすりながら目に涙を浮かべつつ見上げる。

「ったい! 何よ! 折角説明しているのに!」
「吸血鬼よ? アンタなんかけちょんけちょんに出来るくらい強いんだからね?」

 ぱんぱんと、お尻をはたきつつ立ち上がる。
 そして、ずびしと指差しながらそう啖呵を切るのだった
577オクス=ジャン◆K17zrcUAbw2016/11/25(金)23:23:57 DBV
>>576
何となく誰かがぶつかった感覚はあった。
チラリと一瞥、自分のせいで尻餅を着いた少女を見て手を差し伸べる……訳でも無く。
何事も無かったように通過しようとするのだ。
それでも数歩目に聞こえてきた言葉に足が止まり、踵を返して再度少女を見下ろす。

「……あ?説明だか何だかはどうでも良いけどよ……今、吸血鬼って言ったか?」

この男、見ようによっては手練れの吸血鬼ハンターに見えなくも……無い!いや実際は見えないが。
少女の挑発に対して言葉を返さず、静かに見下しながら指を一本二本と曲げていく様が不気味だ。
ブツブツと呟く言葉には、家賃だとか金貸しへの返済だとか非常に現実的な物が並べられて居た。
もし少女が抵抗しなかったら、若しくは不意を突かれるような状態であったら。
啖呵も指差すその動作もお構いなし、と言った様子でまるで子猫でも持ち上げるように襟首を掴み上げようとする事だろうか。

「いやー、降って湧いてくる幸運とは正にこの事だなオイ!」
「丁度今吸血鬼を実験台に使いたいって依頼が入っててよ、支払いも良いんだが何分その肝心な吸血鬼が中々見つからなくてなァ」
「お前みたいに活きが良いのなら金も上乗せされるだろうしやっぱ天は日頃の行いを見守ってるんだな!」
「っし、久々に旨い肉も食えるし悪い事の後に良い事もあるもんだ!」

さっきまで不機嫌な様子だったのが一転、非常にご機嫌な様子。
売り渡すだとか実験台だとか、それを聞かされる当の本人は……どうなのか分からないが。
578ユナ◆FOpQRm.OW22016/11/25(金)23:33:38 5wT
>>577
 なんとなーく、きな臭いものを感じる。
 かと言って逃げ出すような性格ではないのがユナであるのだが、流石に少し不安になったのか、しなっと指先が曲がる。
 ブツブツ言う男を警戒していたからか、伸ばされた手は振り払われるだろう。吸血鬼らしいそれなりに強めの力で。

「なっ、ちょっ!? 何よアンタ! やばっ!」
「ていうか、何? お金に困ってるの? 普通に働けばいいじゃない、荷物運びとかすればお金もらえるわよ?」

 ずささっ、と距離をとって警戒したように牙を剥く。
 が、身の上話のようなプランを聞くと途端に同情を滲ませて気を使うような言葉をかけた。
 ……なんとなく、ユナの普段の生活も垣間見れる気がするが。

「ていうか、吸血鬼を捕まえたいなんてとんだ不届き者ね!」
「私達は夜の覇者、世界の半分は私達のものなのよ? まぁ、慈悲深い私は見逃してあげるけど!」
「見逃してあげるからしっかり働いたほうがいいわよ? こう、そんな悪い事してると捕まっちゃうんだから」
579オクス=ジャン◆K17zrcUAbw2016/11/25(金)23:49:45 DBV
>>578
「ガキンチョが偉そうに世の中を語るんじゃねーよ」
「あのなぁ、荷物運びやらで貰えるガキンチョのお小遣い程度じゃ俺達大人は生きていけねーの」

払われた腕を戻すと、まるで大人びた様子で……とは言ってもおっさんだが……少女の言葉に返し。
溜息混じりに懐から酒の入った小瓶を一口喉に流して深い溜息。
駄目な大人の典型的な例の様な男は、子供が憧れる大人とはほど遠い。

「たった世界の半分だけだろ?それに自称世界の半分がお前さん達の物なら、もう半分は俺一人の物だとも言えちまうぜ?」
「大体にしてよるの覇者を名乗るならそんなペッタンコボディの胸を張って無いで、少しは娼婦館の女達のボインボインバディでも見習ったらどうなんだおこちゃまよォ」
「後な、実際は俺が捕まえたいんじゃ無くてその依頼主が欲しいって言ってんだよ。どっかの薬屋だか魔女だか知らねェけど」
「まー、流石に殺しはしねェだろうしお前さんも何らかの協力費は貰えるぜ?」

少女相手だろうが平気でセクハラ発言を行う、謂わば女の敵である男。
ペッタンコとかボインとか、そんな事を言い表している時は身振り手振りでそのスタイルまで表すのだ。
それにしても……薬だとか魔女だとか、そして実験台とかの言葉からして……その依頼は恐らく某魔女の物だろうか。
580ユナ2016/11/26(土)00:07:19 mUv
「えー? けっこうもらえるけどなぁ……」
「無駄遣いしすぎなんじゃないの? もっと計画的にいかなきゃ!」

 実際、生活できる程度のお金はもらえているのだろう。
 ユナの生活費と男の生活費では差があるのかもしれないが……、ユナが質素なのか男が散在しているのか

「……まぁ、うん、そうね」
「私の実力がわからないのも仕方ないわ。その暴言は許してあげる」
「……にしても、随分身の程知らずな依頼人ね……」

 不満そうに言う。
 その依頼人がだれかは知らずに
581オクス=ジャン◆K17zrcUAbw2016/11/26(土)00:24:54 Pij
>>580
「どうせ何時死ぬかも分からないならもっと愉しんだ方が良いだろ」
「そんな計画的にだとかやってたら枯れた老人と何ら変わらないぜ?」

計画を全く立てないから金に困るのだが、この男は今が良ければソレで良いというタイプなのだろう。
一番駄目な後先を考えず、学習もしない楽天家。
……駄目な大人の要素が沢山詰まった人間であった。

「あー、はいはい。実力も分からずにすみませんでしたー」
「依頼出す奴なんて大抵そんなモンだろ。教会が嫌いだから小便掛けて来いだとか訳の分からん依頼もあるなんて話も聞く位だぜ?」
「んで、お前さんはどうすんだ?引き摺って連れていく事も出来るが……それで騒がれて自警団呼ばれても面倒だしなぁ」

謝罪する時には耳の穴を小指で掃除しながら。誠意のせの字すら存在はしない。
続けるのは、後の判断を委ねるとの事だった。
その言葉からしても吸血鬼であっても少女の外見である事からその力を軽く見ているのか、飽くまで自警団を脅威と捉えて居るよう。
まあ小遣い稼ぎに着いていく……ともなれば、行く先は勿論見慣れた場所とはなるのだが。
582ユナ◆FOpQRm.OW22016/11/26(土)00:37:04 yIM
>>581
 だからかー、というユナの心の声が聞こえそうなくらいの表情。
 そして、なんか枯れ木に水をあげてる気分になり、げんなりした様子で肩を落とした。

「……まぁ、見た目で油断してくれるならそれでもいいわ」
「ただ、一応しっかり警告したからね? アンタが見た目より強いなら話は別なんだけど……」

 ナイフを取り出し、牽制するように睨みつける。
 夜、人通りは……まぁまぁだろうか。揉め事が起こる気配を嗅ぎつけた人達がチラチラ視線を寄越してくる。
 が、まぁ、ユナとしては関係ない。そもそもここで殺し合いが起きたとしても自警団はおそらく間に合わないだろうからだ。
 ……自信過剰な彼女は、負ける予想を一切立てていないが。

「まだ見逃してあげるわよ」
「ほら、寛大だし。堂々とした振る舞いがいいって聞いてるし、それにお金持ってないから治療費も払えなさそうだし……」
583オクス=ジャン◆K17zrcUAbw2016/11/26(土)01:00:49 Pij
>>582
「おい、何だか途中から憐れみが入ってないかオイ」
「それにガキンチョが一丁前にナイフなんか持ち歩きやがって……得物を持って良いのはその得物の痛みを知ってるヤツだけだって昔から言うだろ?」

治療費を持って居なさそうだし。その言葉はズバリ図星であった。
ついさっきギャンブルで所持金がゼロとなった身では刺されても斬られても治療を頼めない。
指の骨を鳴らし、首を鳴らし。帽子を少し上げると露わになるのは今日初めて少女の実力を図るかのような鋭い眼光であった。
こちらは特に装備を持ち歩いている訳で無く、吸血鬼相手に全て避けきるのも難しいと判断したのか。
自嘲するかのように一度嗤うと握っていた拳を解き。

「止めだ止めだ。夜に素手で吸血鬼を相手にしなきゃいけねェ程まだ切羽詰まっちゃいない」
「子供の吸血鬼を持っていった所で返品され無いとも限ら無いんだから態々危ない橋を渡る必要もねェよな」
「オラ、テメェ等もチラチラ見て無いでさっさと散った散った」
「――ったく。酒代も稼げなけりゃ今月もまーた大家にガミガミ言われなきゃいけねェな」

野次馬達を散らす様に手の甲で払う動作を見せ、自分は勝手に戦闘態勢を解きまた酒を呷る。
何というか、本当に自由気ままな男。
584ユナ◆FOpQRm.OW22016/11/26(土)01:16:32 yIM
>>583
「む、失礼ね。こう見えてその痛みは経験済みなんだからね」
「おじさんこそ、人間の基準で相手を見るのは経験不足じゃないのかしら。種族によって色々違うでしょ?色々」

 むすっとした顔でそういう。
 吸血鬼ということや、一人で生きていかねばならない状況などで色々苦労しているのだろう。
 まぁ日々楽しそうではあるが、裏で色々頑張ってるのだ、多分。

「そうそう、それが賢明よ! だって私吸血鬼だからね!」
「……で、お金あげようか? 少しならあるんだけど、いるかしら?」
「その、別に憐れんでるわけじゃないのよ?」

 ちゃり、と麻袋から取り出されたのは黒くくすんだ銀貨3枚ほど。
 銀貨3枚もあればかなり遊べるだろう。酒場の金額だって大衆向けのものなら10回行ってもお釣りが来るぐらいだ。
 ユナの貯金なのだろうか。

「ま、そういうわけで」
「大家さんにも迷惑かけないようにね!」

 そう言うと、ユナは現れた時と同じようにすっと去っていくだろうか。
585オクス=ジャン◆K17zrcUAbw2016/11/26(土)01:33:29 Pij
>>584
「結局は生きてれば殴れるしそんな変わるモンでも無いんだよ」
「……後、施しはいらねェ。子供から小遣い貰う事の方がおじさんには痛いんだ」

筋力に大幅にパラメーターが偏っているタイプなのだろう。
物理が効く相手なら結局はどうにか出来てしまうと言う脳筋の哲学。
そして、最後の言葉は今日一番悲痛であったのは言うまでも無い。
銀貨を渡そうとするその手を暗い瞳で押し戻す姿は何とも言い表しがたかった。

「あいあい、迷惑掛けないで済むならそうしとくって」
「……まぁ、取り敢えず今日もツケで飲みながら後の事を考えるとするか」

ボリボリと頭を掻きながらボソリと一言。
今日も何処かの酒場で一人分の売り上げが上がる事が無いのは既定の様だ。
大家のみでは無く、他の人々にも迷惑を掛ける男。自称優れた探偵の男は今日もまたお酒に生きるのであった。
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